原子力発電所の稼働停止でも電力量は十分

最終更新日 2024年4月15日 by tradgard

近年、世界のエネルギーや発電に関する状況は刻々と変化しており、日本の中では東日本大震災以降は世界と同じく原子力発電所に関して否定的な考え方が強まっているようです。
アメリカにおいてはシェール革命によって天然ガスおよび石油の値段が急落しており、化石燃料の輸入および輸出ルートが変化するなどの事象が生じています。

2019年度のエネルギー白書のデータ

経済産業省エネルギー庁が発表した2019年度のエネルギー白書のデータでは石油や石炭をはじめ、天然ガス・原子力・水力・再生可能エネルギー別の電源割合を見ることができるようになっており、2016年度のデータと大きな変化が生じているのは、再生可能エネルギーの発電所の急増および原子力発電所の減少が特徴です。
日本の中には主要電力会社が10社ありますが、その内訳は北から北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の10社です。

2016年度までは、これら10社の電力会社が集計対象になっていますが、2019年度においては製鉄や重工業メーカー、そして再生可能エネルギー発電事業者が主体になる独立系発電事業者が含まれるようになりました。
このエネルギー白書による集計データは、日本の発電の歴史を知るきっかけにもなるもので、1965年頃までは水力発電が主軸である、1973年の第一オイルショックまでの間は石油、以降は石油から石炭およびLNGに変化し、原子力発電がその中心になり始めたといった日本の発電の歴史が伺えます。

再生可能エネルギーの普及

しかしながら、2011年に発生した東北沖地震でもある東日本大震災が発生してから、原子力発電の割合はほぼゼロに推移する、原子力発電所の機能もゼロになるなど電力不足が懸念される時代に突入したわけです。
ただし、原子力発電所が機能しなくても減少分をLNGが補う、そして再生可能エネルギーの普及により原子力発電に頼らなくても日本の電力は賄うことができる時代へと突入したわけです。

最近では、家庭用太陽光発電システムの普及により電力会社から電気を買うことなく生活を送れる、このような時代に突入しているわけですが太陽光発電システムは太陽のエネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みを持つものですから、夜間の発電はできないため電力会社から供給される電力は必要になって来ます。
充電器を使うシステムの場合でも夜間の電力を十分賄えるだけの容量がなければ生活ができませんので、電力会社の必要性は大きいといえましょう。

ここでの電力会社は、先ほどの10社だけでなく新電力を供給する事業者も含まれるものです。
基本的に新電力を供給する業者は電力会社から電気を購入して利用者にそれを使って貰うものですから、発電元となるのは日本の中にある10社の企業からの供給が欠かせません。
これに加えて新電力事業者の中には再生可能エネルギーを自ら発電する、これを電気利用者に供給しているところもあるため、必ずしも電力会社が必要になるとは言い切れません。

2017年度において最も多いといわれているLNGとは

ところで、2017年度において最も多いといわれているのがLNGで、その割合は39.8%といいます。
このLNGは液化天然ガスを意味するもので火力発電の燃料や都市ガスの原料として欠かすことができない存在です。
輸入量の7割近くが火力発電所で消費されているとされますが、残りの3割は都市ガス用です。
オール電化住宅では都市ガスを利用することありませんので、仮にオール電化住宅の割合が100%近くになれば、その割合も火力発電に9割などの数値になるのではないでしょうか。

このLNGでもある液化天然ガスは、気体物質の天然ガスを冷却することで液体に変化したもの、天然ガスは動物や植物などの死骸が長い歳月をかけて分解され、生成されると考えられており世界中に豊富に存在するエネルギー源です。
そのため、安定供給が可能になるなど注目を集めているものです。
このガスをマイナス162度まで冷却すると液体になって、気体のときと比べると体積が600分の1まで減るため、大量輸送および貯蔵にも最適なエネルギー源になっているようです。

火力発電は、このLNGを利用するだけでなく石炭および石油といった地球に存在する資源を活用しているものですが、その割合は80.8%を占めるものです。
2009年頃の火力発電の割合は約62%程度ではありましたが、原子力発電所の稼働停止により火力発電依存が高まっているなどの特徴があります。
原子力発電所の稼働停止は電気量の不足になるのではないか、このような疑問を感じたり生活に対して不安になる人も多いかと思われますが、再生可能エネルギーやLNGを利用した火力発電は原子力発電の変わる発電システムといっても過言ではありません。

まとめ

なお、再生可能エネルギーは太陽光発電をはじめ、バイオマスや風力、潮力など大自然に存在しているものです。
天然ガスは豊富にあるといわれているけれども、それは地球の中に存在するものであり限りがあるものです。
その点、再生可能エネルギーと呼ぶものは限りがないものを意味します。

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