【春田塾】情報化社会における美術館ならではのスタイル

最終更新日 2024年4月15日 by tradgard

「オンラインで美術館を訪問したい」
「新型コロナの感染が怖いので外出を控えている」
「春田英樹氏のプロフィールは?」

美術館の在り方は時代とともに変化しています。
公共性が高いとはいえ、発展性を持たせないことは得策とはいえません。
収益を伸ばしていくことも重要ですし、もっと多くの人に芸術のすばらしさを伝える取り組みも必要です。
そのような風潮を読み取って、さまざまな施策を行う美術館が増えています。

関連リンク
春田英樹 ジェイレックス
兵庫県立美術館 – HYOGO PREFECTURAL MUSEUM OF ART artm 芸術の館 神戸

春田英樹氏から見た昨今の美術館の進歩

特に大きく傾向が変わったきっかけはIT技術の大きな進歩です。
インターネットで遠隔で鑑賞できるようにするところが増えています。
リモートの美術館訪問には多くのメリットがあり、そのおかげで利用者を増やすことに成功している事例もあります。
たとえば、新型コロナウイルスの感染予防もその一つで、著しい効果があった事例として有名です。
美術館は閉じた空間なので感染のリスクが小さいとはいえません。
窓を増設してすべて開放し、換気を促すことで対策することも可能です。
しかし、そのためのコストがかかってしまいますし、美術品への悪影響も懸念されます。
湿度や温度を緻密にコントロールすることは、絵画などの管理に欠かせない取り組みです。
窓をたくさん開けた状態にすると、そういった制御は大雑把になってしまいます。
展示品の劣化が急速に進むなど、大きな損失に繋がることもあるでしょう。
それに対してリモートの場合、これまで通り閉じた空間でも問題はありません。

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無線通信などの環境も整える必要がある

もちろん機材を導入する必要はありますし、無線通信などの環境も整える必要があります。
とはいえ、たいていのところはインターネットを使用できる状態です。
場合によっては回線を補強することも不可欠ですが、基本的には導入のための準備は進んでいるでしょう。
カメラのような機器を用意すれば、後は接続するだけでインフラを構築できます。
もちろんホームページを改良することもポイントであり、簡単に鑑賞できる仕組みを導入しなければなりません。
理想的なのは館内のバーチャル空間を用意して、そこで見て回れるようにすることです。
臨場感がある環境なら、本当に訪問したような体験が可能になります。
この点に関して課題になるのは、ユーザー側のスペックが大きく関係することです。
運営側が優れたシステムを取り入れても、ユーザーの使用している機器のスペックが低いと利用できません。
ですから、推奨スペックを下げるための工夫にも力を入れることになります。

時間を気にせずに訪れてもらえる

事前に海外の事例などをチェックし、最も相性が良いと思ったシステムを選択するのが得策です。
以前よりユーザー側のスペックは上がっていますが、それでも想定外の人が含まれている可能性はあります。
特別なソフトをインストールすることなく、ブラウザで閲覧できるタイプなら負担は小さいでしょう。
その他のメリットとして、時間を気にせずに訪れてもらえることが挙げられます。
24時間いつでも可能している状態にすることも難しくありません。
しっかり施錠した状態でも、システムさえ稼働してれば鑑賞してもらえるからです。
警備員が常住しているところなら、さらに安全性は高いといえます。
このように、利用してもらえる時間を延ばしても、セキュリティ面の懸念が小さくて済むこともメリットです。
美術に関心はあっても、仕事などが忙しくて訪れられない人は少なくありません。
そのような人にこそ、心が癒されるアート作品を見せたいという芸術家も多いでしょう。
バーチャル型の館内なら、そのようなニーズを叶えることも十分に可能です。

収益アップに結び付かないケースもある

ただし、問題が一つもないというわけではないので注意してください。
入館料を取ることが難しくなるため、収益アップに結び付かないケースもあるのです。
わざわざ有料の会員登録をしてまで鑑賞してくれる人は多くありません。
無料で見てもらって収益化を図るには、これまでとは異なる施策を求められます。
実施しやすい定番の方法は広告収入を狙うことです。
バーチャル空間に企業の広告をアップし、相応の料金を支払ってもらいます。
距離的な問題をクリアできることも魅力的なメリットです。
たとえば北海道にある美術館でも、沖縄の人が簡単に利用できます。
それどころか多言語化しておけば、世界中から訪問してもらうことも容易です。
鑑賞時に翻訳するシステムを導入することは難しくありません。
ARの分野では当たり前になっているため、少ないコストで実現できるでしょう。
むしろハードルが高いのは、美術館の素材を対外的に発信していくことです。
SNSを利用して広くアピールしていくことが効果的です。

まとめ

マスコットキャラクターを用意して、広告塔として活動してもらうという手もあります。
いずれにせよ、待っているだけでは訪問者は増えないので気を付けてください。
保有している作品の良さを世に知らしめたいという情熱が必要です。
詳しくない人に向けた平易な解説を増やすなど、門戸を広げるための配慮が欠かせません。
芸術家にちなんだグッズ販売のような施策が有効なケースもあるでしょう。
多角的に戦略を練ることがリピーターの獲得に繋がります。